頭が締め付けるように痛む
緊張型頭痛について 〜整体の視点から考える原因と改善法〜
はじめに
頭痛の中でもっとも多いタイプが「緊張型頭痛」です。厚生労働省の調査によると、日本人の約20%が慢性的な頭痛に悩まされており、その半数以上が緊張型頭痛だといわれています。
「後頭部から首にかけて重だるい」
「頭が締め付けられるように痛む」
「夕方になると疲れとともに頭痛が出る」
こうした症状で病院に行っても「異常なし」と言われ、鎮痛剤でしのいでいる方は少なくありません。実際、緊張型頭痛は命にかかわるものではありませんが、慢性的に続くことで生活の質を大きく下げてしまいます。
本記事では、緊張型頭痛の医学的知識を整理した上で、整体の視点からのアプローチや日常生活でのセルフケアを詳しく解説します。
緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛は、頭部や首、肩の筋肉が過度に緊張することで起こる頭痛です。
特徴
- 痛み方:頭全体が締め付けられるような鈍い痛み
- 部位:後頭部〜側頭部〜前頭部まで広がることが多い
- 時間帯:夕方や仕事の終わりなど疲れが溜まったときに出やすい
- 随伴症状:肩こり、首こり、目の疲れ、倦怠感、不安感など
- 偏頭痛との違い:拍動性ではなく、ズキズキではなく「重く締め付けられる」感覚
医学的にわかっている原因
緊張型頭痛のメカニズムは大きく2つに分けられます。
1. 筋肉由来の要因
- 長時間のデスクワークやスマホ使用で首や肩の筋肉が緊張
- 筋肉の緊張により血流が悪くなり、乳酸などの疲労物質が蓄積
- その刺激が神経を介して脳に伝わり「痛み」として認識される
特に関与するのが 僧帽筋・後頭下筋群 です。これらが硬くなることで、後頭部から目の奥まで痛みを感じることがあります。
2. 中枢神経系の要因
近年では、筋肉だけでなく 脳の痛みを感じるシステム(中枢性感作) が関与すると考えられています。慢性的にストレスがかかると、痛みに敏感になり、軽い刺激でも痛みを強く感じるようになります。
緊張型頭痛の分類
- 反復性緊張型頭痛:断続的に出現し、数時間〜数日で改善する
- 慢性緊張型頭痛:1か月に15日以上、3か月以上続くもの
慢性化すると薬が効きにくくなり、生活に支障をきたすケースも多いため、早期に体のケアを始めることが大切です。
整体から見た緊張型頭痛の原因
整体の視点では、以下の要素が大きく関係しています。
1. 姿勢の乱れ
猫背やストレートネックは首・肩に過度な負担をかけ、頭部を支える筋肉を緊張させます。
2. 骨盤・背骨の歪み
土台となる骨盤や背骨に歪みがあると、全身のバランスが崩れ、首や肩への負担が増えます。
3. 自律神経の乱れ
長時間の緊張やストレスで交感神経が優位になり、筋肉が常にこわばった状態になりやすいです。
4. 呼吸の浅さ
胸や肋骨が硬くなると呼吸が浅くなり、酸素不足によって頭痛が助長されることがあります。
整体における改善アプローチ
緊張型頭痛の根本改善には、単にマッサージで筋肉をほぐすだけでは不十分です。整体では「体の土台を整え、自律神経と血流を改善する」ことを目的にアプローチします。
- 首・肩・背中の筋膜リリース:筋肉のこわばりを解消し、血流を改善
- 骨盤・背骨の矯正:姿勢を正し、首への負担を減らす
- 頭蓋骨調整:後頭部の緊張を和らげ、自律神経の働きを整える
- 呼吸改善:胸郭を広げて深い呼吸を促し、リラックス状態へ導く
日常生活でできるセルフケア
整体と並行して、自宅での習慣改善も欠かせません。
1. 正しい姿勢を意識する
- デスクワークでは背筋を伸ばし、モニターは目の高さに
- 足を組まず、骨盤を立てて座る
2. こまめなストレッチ
- 1時間に1回は首・肩を回す
- 後頭下筋群を伸ばす軽いストレッチ(あごを軽く引き、首の後ろを伸ばす)
3. 目の休憩
- 20分作業したら20秒遠くを見る「20-20-20ルール」
- ホットアイマスクで目とこめかみを温める
4. 入浴
- シャワーだけでなく湯船に浸かり、全身の血流を促す
5. 睡眠
- 寝具の高さや硬さを調整し、首に負担がかからないようにする
緊張型頭痛と薬
鎮痛薬(NSAIDs)は有効ですが、乱用すると「薬物乱用頭痛(MOH)」を招くリスクがあります。
「薬を飲んでも効かなくなってきた」という場合、体のバランスや生活習慣を見直す必要があります。
まとめ
緊張型頭痛は、日本人に最も多い頭痛タイプであり、首や肩の筋緊張、姿勢、自律神経の乱れが関与しています。薬で一時的に和らげても根本改善は難しく、整体で骨格や筋肉を整え、生活習慣を見直すことが重要です。
- 姿勢を整える
- 筋肉をほぐし血流を改善する
- 自律神経を整える
- 呼吸を深める
これらを意識することで、慢性的な頭痛から解放され、集中力や睡眠の質も改善されていきます。
「病院で異常がないと言われたけれど、頭痛が続いて困っている」
「薬に頼らず改善したい」
そうした方にこそ、整体の視点からのアプローチをおすすめします。