男性に多い頭痛
群発頭痛について 〜整体の視点から〜
はじめに
頭痛にはさまざまな種類がありますが、その中でも「群発頭痛(cluster headache)」は「頭痛の王様」と呼ばれるほど、非常に強い痛みを特徴としています。
一般的な頭痛と比べて発症頻度は少ないものの、痛みの強さから生活に大きな影響を与える頭痛です。
本記事では、群発頭痛の医学的背景と特徴を整理しつつ、整体の視点から考えられるサポート方法についてもご紹介します。
群発頭痛とは?
群発頭痛は、目の奥からこめかみにかけて「目をえぐられるような」「焼けつくような」激しい痛みが片側に出現する頭痛です。
特徴
- 発作は1日1〜2回、数週間〜数か月の「群発期」に集中して起こる
- 発作時間は15分〜3時間程度
- 夜間、特に深夜1〜2時ごろに出やすい
- 男性に多く(患者の約7〜8割)、20〜40代に多い
痛みの強さは偏頭痛よりも激しいとされ、発作中には「じっとしていられない」「壁に頭を打ちつけたくなる」という表現をされる患者さんもいます。
群発頭痛の随伴症状
発作時には頭痛だけでなく、自律神経症状が伴うことが特徴です。
- 片側の目の充血
- 流涙(涙が出る)
- 鼻づまり・鼻水
- まぶたの腫れや下垂
- 顔の発汗
これらが「頭痛と同じ側」に出るのが典型的な所見です。
群発頭痛の原因(医学的視点)
完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。
- 脳の視床下部の異常
群発頭痛は周期的に発症することから、体内時計を司る視床下部の関与が指摘されています。 - 三叉神経の活性化
三叉神経と脳血管の異常な反応が、激しい痛みの原因と考えられています。 - 血管拡張
頭蓋内の血管が拡張し、神経を刺激することで痛みが発生するとも言われています。 - 誘因因子
アルコール摂取、喫煙、気圧変化、強い光やにおい、睡眠リズムの乱れなどが群発頭痛の引き金になることがあります。
群発頭痛と他の頭痛の違い
- 偏頭痛:ズキズキと拍動する頭痛で、光や音に敏感になる。数時間〜数日続く。
- 緊張型頭痛:頭全体が締め付けられる鈍痛。ストレスや筋緊張が原因。
- 群発頭痛:片側の目の奥に限局した強烈な痛み。数週間〜数か月の群発期に集中。
このように「発作の強烈さ」「周期性」「随伴する自律神経症状」が群発頭痛の大きな特徴です。
整体から見た群発頭痛への考え方
整体は直接的に群発頭痛を「治す」ことはできません。群発頭痛は医学的な疾患であり、発作が起きた場合は必ず専門の医療機関を受診することが必要です。
しかし整体では、発作の頻度や誘因に関わる体の状態を整える ことがサポートにつながると考えています。
- 首や肩の緊張緩和:筋緊張が強いと血流や神経に負担をかけ、発作の誘因になる可能性があります。
- 自律神経の安定:骨格や呼吸を整えることでリラックス状態を作りやすくなります。
- 生活習慣の改善サポート:睡眠リズムの安定、飲酒や喫煙のコントロールなどを意識づけられます。
医学的な治療法
整体でのサポートと並行して、医療機関での治療が欠かせません。
急性期治療
- 酸素吸入(高濃度酸素療法)
- トリプタン製剤(スマトリプタンなど)
予防治療
- ベラパミル(カルシウム拮抗薬)
- リチウム
- ステロイド短期投与
これらは医師の診断のもとで処方されます。
群発頭痛を持つ方への生活の工夫
- 発作期はアルコールを避ける
- 睡眠リズムを一定に保つ
- 強い光やにおいを避ける
- ストレスを溜め込まない
- 適度な運動で血流を促進
これらを意識することで発作の誘発を防げるケースがあります。
まとめ
群発頭痛は「頭痛の王様」と呼ばれるほど激烈な痛みを伴い、日常生活を大きく脅かす頭痛です。
医学的には視床下部や三叉神経の異常が関与し、発作期には自律神経症状を伴うのが特徴です。
整体は直接的な治療にはなりませんが、体の歪みを整え、首や肩の緊張を緩め、自律神経のバランスを整えることで「体質改善」や「誘因のコントロール」に役立つ可能性があります。
頭痛で悩んでいる方の中には「偏頭痛と思っていたけれど実は群発頭痛だった」というケースもあります。少しでも心当たりがある方は、まずは医療機関での診断を受け、そのうえで整体などの補助的ケアを取り入れることをおすすめします。